Ars longa, vita brevis.

40代男放送大学生

『言葉を育てる』米原万里対談集の感想

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翻訳家の米原さんの本ということだけあって、「言葉」に関する示唆をたくさん得られる本でした。

こちらの本を読んだ理由

私が今の人生のテーマとして取り組んでいるのはまさに言葉を育てるなのです。
通信制大学に入学したり、このブログを作ったり、いろんな本を読むのもこのテーマから導かれた行動なのです。

そんな私にピッタリの書名。手に取らざるを得ません。

印象に残ったところ

米原 ロシア語学校に行って、国語の授業の違いに愕然としたんです。日本だと「よく読めましたね」でおしまいだけど、プラハでは「よく読めました。では今読んだところをかいつまんで話しなさい」ってやられるの。毎回。(p54)

漫画宇宙兄弟に出てくるロシア人も試験は全部口述だみたいなこと言ってたような。

米原 これやられると、読みながら中身を捕まえるのが習性になるんです。受け身ではない攻撃的読書。(p54)

(児玉清との対談)

攻撃的読書

なるほど、と思い、かいつまんで話す代わりに本を読んでいて一区切りついたところで40−50字の文を2つほどで要約を書きだすか声に出す、ということをはじめてみました。

このようなアウトプットを前提としながら読むと脳にかかる負荷や使ってる部分が単に読むだけのときとはかなり違ってくるのを実感します。

要約作成は大変だけど

要約作成はすこし大変ですがそのぶん深い楽しみを得られるのではないかと期待しています。

要約を考えている最中は頭の中で何十回も読んだ内容を思い出す作業をすることになります。

小説の場合

小説には無駄なセリフやシーンは一つもないはずです。
しかし要約のためにどこかを選んで切り捨てる必要があります。

どこを選ぶべきか必死で頭をぐるぐるさせながら「なんであんなセリフだったんだろう」とか「どんな必然性があってあんなシーンを書いたのだろう」など反芻していると、ふとひらめいたり腑に落ちたりすることがあります。その瞬間がとても快感です。単に読んでるだけではたどり着けない楽しさです。

なぜ40−50字要約なのか

中小企業診断士の受験生の間で有名らしい日経春秋を40字に要約するという訓練法を知って今現在で40日くらい続けています。それで40字という感覚が染み付いてきているので40字〜50字にしました。

こちらで皆さんの苦心の跡を見ることができます。https://twitter.com/hashtag/sjyouyaku?src=hash 

日経春秋は要約に適さない素材だと思いますが、そこを強引になんとかするのが修行になるのかもしれません。結構楽しいのでおすすめです。

おそロシア

米原 ロシアは、とにかく「言葉があらゆる学問の基礎体力だ」という考え方なのね。だから、これを徹底的にやるんです。国語と言っても文法と文学に分けて、文法はむしろ、本当は母国語なのに、徹底的に外国語として突き放して勉強していましたね。(p291)

(糸井重里との対談)

「言葉があらゆる学問の基礎体力だ」

刺さります。そのとおりだと思います。

ページを捲るたびに刺さる言葉にであえる素晴らしい本です。